茅野市宮川の田園風景の中に建つ小規模な資料館。読み方は「じんちょうかん もりやしりょうかん」。かつて諏訪上社の神事を統括していた守矢家の記録を保存・展示するため、1991年に開設された。 設計は建築史家・建築家として活動する藤森照信で、自身の出身地に初めて手がけた実作建築としても知られている。
建物の柱や床には地元材の木材を使用。さらに屋根には諏訪産の鉄平石や天然スレートを用い、壁面には茅野の土を混ぜた独特の左官仕上げが施され、力強く素朴な印象を与えている。 正面に突き出す4本のイチイ柱は御柱を象徴。周囲の農村景観と調和する建物となっている。
館内には諏訪信仰にまつわる資料や祭祀具が並び、建物自体もまた一つの展示物としての役割を担っている。
藤森照信
長野県茅野市出身の建築史家・建築家で、東京大学名誉教授。日本近代建築史の研究で知られ、45歳で建築家としてデビュー。
自然素材と地域性を活かした独創的な建築を多数手がけ、代表作に《神長官守矢史料館》《高過庵》《ラ コリーナ近江八幡》などがある。
建築探偵団や縄文建築団の活動でも知られる