国立銀行の流れを継ぐ現役のナンバー銀行の一覧

第四銀行、十六銀行、百五銀行…なんてロマンあふれる響きでしょう。 名前から明治の残り香が漂ってくるようです。

1872年の国立銀行条例によって設立された国立銀行は認可順にナンバーを与えられました。 その数は153行にのぼります。しかし時代の荒波にもまれ合併、経営破たんが相次いだ結果、当時の“遺産”のごとき数字を受け継ぐのは全国にわずか6行だけになりました。

地方銀行の再編が加速するなか、独立独歩地域を支え続けてきたナンバー銀行を降順に紹介したいと思います。

百十四銀行本店ビル

百十四銀行

  • ■前身:第百十四国立銀行
  • ■設立:1878年
  • ■総資産額:4兆7318億円
  • ■預金残高:4兆371億円
  • ■本店所在地:香川県高松市亀井町5-1 HP

地域の中心たる銀行本店ビルはシンボリックかつ先進的な建築であってほしい。 そんな私の願いに百十四銀行は「日本初。緑青仕上げの銅板で壁面を覆った西日本の最高峰建築※当時」というカタチで応えてくれています。 丹下健三設計の名建築「香川県庁東館(旧本館)」とは公園をはさんで対峙しています。 高松は松山と都会度を競っているようですが、先日のブラタモリが盛んに「四国一のまち 松山」を連呼。 案の定、香川県界隈のTwitterがざわついておりました。

百五銀行本店ビル

百五銀行

  • ■前身:第百五国立銀行
  • ■設立:1878年
  • ■総資産額:5兆3007億円
  • ■預金残高:4兆4144億円
  • ■本店所在地:三重県津市岩田21-27 HP

リスク低減のため2棟の新築ビルに本部機能を分散させているのですが、すいません。私が訪問した2014年時点では2棟ともが建設中でした。 写真右が旧本館ビル※解体予定で左が新本館ビル(岩田本店棟)です。 もう1つの新棟である丸之内本部棟はほぼ同じ建物規模で直線で500mほど離れた場所にあります。

七十七銀行本店ビル

七十七銀行

  • ■前身:第七十七国立銀行
  • ■設立:1878年
  • ■総資産額:8兆3,493億円
  • ■預金残高:7兆6423億円
  • ■本店所在地:宮城県仙台市青葉区中央3-3-20 HP

東北一の地方銀行で、今回紹介したナンバー銀行の中でも最大の規模を誇ります。 銀行名の読み方は「しちじゅうしち」です。 同じ年に設立された東京株式取引所(東京証券取引所)の場勘業務を50年以上にわたって一手に引き受けるほどの信頼を得ていました。 現在も引き続いて清算銀行に指定されています。

十八銀行本店ビル

十八銀行

  • ■前身:第十八国立銀行
  • ■設立:1877年
  • ■総資産額:2兆8489億円
  • ■預金残高:2兆5158億円
  • ■本店所在地:長崎県長崎市銅座町1-11 HP

異国情緒あふれる長崎の町に本店を構えています。ちゃんぽんの名店が並ぶ長崎新地中華街も徒歩圏内です。 2016年、県北部を主な地盤とする親和銀行(佐世保市)との合併計画が発表されました。 銀行規模に大差はありませんが、新本店はほぼ間違いなく長崎市になるでしょう。でも本店ビルの建築的評価なら親和銀行に軍配があがります。 名前は変わってしまうんだろうなぁ。

十六銀行本店ビル

十六銀行

  • ■前身:第十六国立銀行
  • ■設立:1877年
  • ■総資産額:6兆890億円
  • ■預金残高:5兆4394億円
  • ■本店所在地:岐阜県岐阜市神田町8-26 HP

本店ビルは岐阜県初のコンクリート建築。2012年に岐阜銀行を吸収合併しました。 岐阜県はもちろん隣の愛知県にも強い営業地盤をもっています。収益の県外比率は全国地銀でもおそらくトップクラスかと。 名古屋市には本店ビルよりも立派な高層ビルを所有しています。

第四銀行本店ビル

第四銀行

  • ■前身:第四国立銀行
  • ■設立:1873年
  • ■総資産額:5兆2102億円
  • ■預金残高:4兆2800億円
  • ■本店所在地:新潟県新潟市中央区東堀前通七番町1071-1 HP

商号を見て気付かれましたでしょうか。今回挙げた銀行のなかで唯一数字の前に「第」が付いたままです。 さすがナンバーひと桁銀行。最初期設立の4銀行の一つ。格が違います。と言いたいところですが明治から大正にかけての20年ほどは新潟銀行と名乗ってた時期があったりして…。 現本店ビルは5代目(1992年完成)になります。

そして

第三銀行本店ビル

第三銀行(三重県松阪市)と

八十二銀行本店ビル

八十二銀行(長野県長野市)

この2行。一見すると当初からのナンバー銀行っぽいですが実は違います。 第三銀行の由来は相互銀行時代の行名(三重県だから第三?)で、 八十二銀行に関しては昭和6年、第十九銀行と六十三銀行が合併した際に両行の数字を足したもの(19+63=82)を商号に定めています。 シャレてますね!

ちなみに第四銀行と同じく最初期に設立された残り3つの国立銀行は、度重なる合併を経て以下の銀行として存続しています。

第一国立銀行 → みずほ銀行

第二国立銀行 → 横浜銀行

第五国立銀行 → 三井住友銀行
※みずほ銀行は20近い国立銀行のDNAを受け継いでいるので八十二銀行同様の商号足し算方式だと1000を超えちゃいます。

残り少ないナンバー銀行はいまのまま6行ともが存続してほしいですが状況は厳しいです。 十八銀行は親和銀行と、第四銀行は北越銀行との経営統合構想があります。 その後の合併となるとナンバー銀行がその数を減らしてしまう可能性が高いでしょう。