消えた大阪の工場萌え。

中山製鋼所転炉工場の解体


2016年7月某日、木津川の河口近くに架かる新木津川大橋へ撮影にでかけました。 大阪市大正区と住之江区を結ぶアーチ橋でなかなかの眺望スポットなのですがこの日は視界がイマイチ。 「無駄足だったなぁ」とカメラを構えてはたと気付きました。


…ない。


中山製鋼所の転炉工場が…


ないっ!


か、解体されてるー!


我が目を疑う光景でした。 中山製鋼所のプレスリリースか何かで転炉工場の休止は知っていましたが業績が回復すれば再稼働するものと勝手に思い込んでいました。 まさか!解体されてるなんて!

中山製鋼所船町工場は昭和初期に操業を開始した歴史ある工場で官営八幡製鐵所(現新日鐵住金)、日本鋼管(現JFEスチール)に続く日本三番目の高炉(2002年に休止)を有していました。 敷地面積は全体で約45万m2。そのうち転炉工場は6万m2を占めていました。


堅牢な要塞を思わせる転炉工場は船町工場のシンボルとして抜群の存在感を放っていました。 1975年に平炉から転炉にリプレース。近年は機能を縮小しながらも2012年までは現役で稼働していました。 蒸気を纏い、建屋上の煙突から炎をボーボー吹き上げる迫力ある姿に昭和のロマンを感じたものです。(←写真に残していなかったのが悔やまれます)

ちなみに船町工場は映画「ブラック・レイン」(1989年アメリカ 監督:リドリー・スコット)とともに語られることが多いですが「ロケ地」と呼ぶのはちょっと過大評価かも。 映画序盤、船町工場を中心とした木津川沿いの工場群が空から映しだされます。 極東アジアの混沌都市をイメージさせる効果的な映像ですが時間にしたらわずか数秒。 しかも夕日をバックにしたシルエットなので意識して見ないと大阪人でもまず気が付かないと思います。 ※新木津川大橋もまだ無い

誤解が多く見受けられるマイケル・ダグラス、高倉健と松田優作による製鉄所のドンパチシーンのロケ地は新日本製鐵堺製鉄所(←現在のシャープ堺工場・新本社の辺り)とアメリカ・ロサンゼルスの製鉄所です。


転炉工場と新木津川大橋の3重ループのコラボも


いまは昔。


ループを下りた先にあったこの光景が


こうなっていました。
大きなため息とともに意識朦朧となったのは気温35℃の影響だけではなかったはずです。 転炉工場の跡地には物流施設が建設予定だとか。


この転炉工場。実は地上部分がクライマックスです。 縦横に張り巡らされた配管が工場マニア垂涎の的になっていました。 まともに撮影した写真がないのが恐縮ですが在りし日の姿をいくつか紹介したいと思います。





もし大阪百景…いや大阪十景なるものがあれば迷いなく選んだ景観です。 夜もきっと幻想的だったろうなぁ。個人的には道頓堀に勝るとも劣らない大切な大阪風景。 それが突如失われてしまったことにかなりのショックを受けた一日でした。


また、あまり知られていないのですが隣接の中山製鋼所本社屋の一部(右側)は著名建築家の村野藤吾氏の設計。 1935年の竣工で老朽化がすすんでいると思われますが、知らぬ間にこちらも解体…なんてことにならないよう願っています。


ちなみにタンク跡?などの産業遺産は変わらず健在です。