石巻のタイルの館「旧観慶丸商店」を見学①外観編

多種多様なタイルをこれでもか!と貼り付けた彩り豊かな建物が宮城県石巻市にあります。東日本大震災の津波で大きな被害を受けましたが復旧工事が無事完了。2017年4月から公開が始まっています。


※撮影は2017年5月

建物の名前は旧観慶丸商店。貿易と漁業で栄えた石巻初の百貨店として昭和5年に完成。後に陶器専門店に衣替えし、被災するまでここで営業していました。

交差点に向けて優美な曲線を見せます。洋風なのに木造。いわゆる擬洋風建築ですね。さらに近寄ってみると

タイル。タイル。タイル。

多種多様なタイルがファサードを彩ります。花がら、巻き貝や竹モチーフもあったりして見飽きません。屋根に載るスペイン瓦もとてもハイカラです。

遠洋漁業の基地として国際色豊かだった石巻であっても、昭和初期に誕生したこのド派手建築は大いに話題を呼んだことでしょう。

設計を手がけたのは施主である須田幸一郎自身。当時39歳。着工から完成まで1年もかかっているので色々と試行錯誤しながらだったかもしれません。

専門家の評価は「どこまでが設計でどこまでが遊びなのかわからない」「不思議な近代建築」「国内にあまり例のない庶民的で魅力的な建物」などなど。サグラダ・ファミリアで知られるアントニオ・ガウディに影響を受けているのではとの声もあるようです。

もともと廻船業に携わっていた須田家。「観慶丸」は長年船頭をつとめていた船の名前です。陶器は船の重量を調節するバラスト水のような役目もあったそうなので、馴染み深かったはず。また、須田幸一郎自身が無類の陶器好きだったとの話も聞きました。まぁそれは聞かずとも伝わってきますが…

3階の曲面部分にズーム。濃いです。円窓は船がモチーフ。半円アーチのガラスだけは当時のままかな。四角窓横のカラフルなタイルも見逃せません。

側面、背面はだいぶ印象が異なりますね。奥には(当時から)和風の居住スペースがくっついてます。

道路に面した3階部分は、もともとバルコニーだったのを、屋根をかけてレストランに改装。石巻で初めてカレーライスを提供しました。他にも何度かの増築があったようです。

隣の第2SSビル(旧七十七銀行石巻支店)はさらに古くて大正14年の完成です。2棟が並び立ってもうすぐ90年。地域の見慣れた風景が、震災を生き延びて良かった。※地震によるタイルの落下は殆ど無かったらしい

次回は、内部の様子をお伝えします。

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