山梨県庁別館は、1930年(昭和5年)に旧本庁舎として竣工した鉄筋コンクリート造3階建の歴史的建築物で、現在は県庁の別館および文化施設として活用されている。 設計には日本の耐震構造の先駆者・佐野利器が関与し、施工は清水組が担当。 外観は「山」の字を象った左右対称の構成で、塩山産花崗岩や愛知県産タイル、濃緑色陶瓦など地域資材を用いた意匠が特徴。 内装には道志産大理石や楢板張りの床、折上げ格天井など和洋折衷の装飾が施され、昭和初期の建築美を今に伝える。
戦災を免れ原形を保った希少な近代建築として、2009年に山梨県指定有形文化財に登録。 2015年には耐震改修とともに「山梨近代人物館」が開館し、県ゆかりの偉人50名の功績を紹介する展示施設として再整備された。 旧知事室や旧正庁は創建当時の調度品を復元し、格式ある空間として一般公開されている。 現在では行政機能に加え、観光・教育・撮影ロケ地など多目的に活用され、県政と建築文化を象徴する施設として重要な役割を果たしている。