大阪市阿倍野区の西田辺エリアに立地するシャープの本社屋。 数度の増改築を経て現在の姿になった。
シャープは1912年創業。関東大震災で東京の工場が全壊したため1924年に現在地に移転した(当時の社名は早川金属工業研究所)。 シャープペンシルやターンテーブル式電子レンジ、電子計算機などを発明したのち液晶、太陽電池などの分野で国内トップクラスのシェアを握るに至った。
2000年代に入って液晶テレビの「アクオス」の大ヒットなどによりブランド価値が向上。大阪府堺市に数千億円を投じて液晶工場を新設した。 しかしその開発が過剰投資となって経営を圧迫。資産や部門売却により再建を図ったが2016年、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープを買収する結果となった。
本社ビルおよび敷地(7,370.70m2)はニトリへと売却。シャープは本社機能を堺市に移転した。 しかし、鴻海の傘下となって以降は買い戻しの意向を示し、ニトリと交渉の席をもったが合意には至らなかった。 建物は解体。跡地にはニトリの大型店舗が建設される。なお、向かいのシャープ田辺ビルは買い戻しに成功している。
経営危機が叫ばれる以前、高さ日本一の超高層ビル「あべのハルカス」に移転する計画があったが子会社がオフィスを構えるに留まった。 なお、研究開発拠点は奈良県天理市のシャープ総合開発センターに構えている。